事業計画作成

事業計画とは、頭の中にある事業イメージを整理して、具体的に計画書として作成することです。

日本政策金融公庫や市の制度融資などから資金調達する場合、事業計画書を作成する必要があります。また、取引先や出資者への協力を得るための説明用の資料としても利用できます。

創業した後には、実際の売り上げや経費などの経営内容と事業計画書を比較することで、どこに問題があるのかを把握することができますので、事業計画書は是非作成しましょう。

事業計画書にはいろいろな様式がありますが、基本的に次の内容で構成されています。製品・サービスの説明、売り方と採算の合わせ方(販売計画、収支計画、資金計画)です。

製品・サービスの説明について

顧客ニーズから製品・サービスを考えて説明する

提供する商品・サービスの説明には、ターゲット顧客の求めているものを提供するという視点が大切です。「何が提供できるか」ではなく、「何が求められているのか」という視点で書きましょう。

記入例(架空の事業計画の案です)

テーマ:農業シェアリングのマッチングサービス

農業を営む方々の高齢化が進んでいます。高齢者(ア)が所有する農地で、耕作されず放置されているものが多くあります。一方で、別の土地には、若くて農作業のできる方(イ)が存在します。また、高齢者の所有する農地の近くには、高齢であって農業機械を所有する別の方々(ウ)もいます。高齢になったが、農地を所有しており、まだ農業を営んで世の中においしい野菜を提供したいという方々は多いのです。

そこで、そのような方々のために、インターネットを通じて、この3者(アイウ)を結びつけて、耕作されていない農地で、近所の農業機械を借りて、離れた土地の若い農業者が負担の重い農作業をする仕組みを構築します。当社は、農業シェアリングマッチングサイト「農業シェアリングで三方よし」を運営して、成約した場合に農地を所有する高齢者(ア)から農作業をする方(イ)、機械を貸す方(ウ)への謝金を預かり、5%の手数料を差し引いて両者(イウ)に支払いを行います。農地を所有する高齢者(ア)は、できた野菜を販売することにより売上を上げます。

注:農業就業人口の減少と高齢化が進んでいます。農林水産省では、その対策の一環として、小規模農家の農業者が集落営農組織に参加して農業を継続するという施策を展開しています。現実的には、この施策が効果的であろうと考えられます。上記の農業シェアリングのマッチングサイトは、この意味で架空の事業計画ということになります。

農業シェアリングサイト事業のスキーム図

スキーム図

「農業シェアリングで三方よし」
収益計画・資金計画等

項目 入居前
(今年度)
入居後の計画
(1年後)
入居後の計画
(2年後)
入居後の計画
(3年後)
収益計画 売上高 0 7,020 14,040 28,080
売上原価 0 0 0
人件費 3,500 8,000 12,000
減価償却費 440 680 920
その他一般管理費 1,800 2,000 2,400
その他経費
経常利益 0 1,280 3,360 12,760
法人税等 0 512 1,344 5,104
当期利益 0 768 2,016 7,656
資金計画 ①期初資金残高 0 4,000 5,520 7,960
②事業収入 現金売上 7,020 14,040 28,080
その他
③事業支出 設備投資 2,200 1,200 1,200
運転資金 5,300 10,000 14,400
その他(含・法人税等)
④事業収支差引(②-③) 0 -480 2,840 12,480
⑤財務収入 自己資金(増資等) 4,000
借入金 2,000
その他
⑥財務支出 借入金返済 400 400
その他
⑦財務収支差引(⑤-⑥) 4,000 2,000 -400 -400
当期資金収支(①+④+⑦) 4,000 5,520 7,960 20,040

売り方と採算の合わせ方(販売計画、収支計画、資金計画)

ある業界で定番として定着している売り方と採算の合わせ方がビジネスモデルです。ベンチャーの起業は、定番のモデルに疑問を持つことから始まり、定番のモデルよりも多く売り、多く利益を上げる方法を実現しようとするものです。

ビジネスモデルを考えるとき、二つの形があります。誰も気づいていない潜在的な不便さを解消するものと、既に出回っている既存商品を顧客のニーズを掘り下げて新たに作り直すものの二つです。

なお、売り方と採算の合わせ方の内容としては、販売計画、収支計画、資金計画の三つの項目があります。

販売計画

販売計画は事業計画の重要な部分です。主な検討項目は次のとおりです。各項目は互いに関連していますので十分に検討しましょう。

だれに
どのような顧客をターゲットとするのか明確にします。顧客をどこにしぼり込むかによって、商品などが変わります。

何を
顧客によって、取り扱う商品やどのようなサービスをするのか決めます。

どのように
ネット販売にするのか、対面販売にするのか、セルフサービスにするのか、などどのような販売方法をとるのか検討します。

具体的な販売計画にはいくつか計算方法がありますが、ここでは市場規模に基づいたものを紹介します。この方法では、市場規模を導き出し、販売目標を算出します。

・算出例(上記の農業シェアリングマッチングサイト「農業シェアリングで三方よし」について)

a 市場規模を算定する
・商圏は、全国とする。
・全国の農地を所有する高齢者数を調べる。

「農業シェアリングで三方よし」の場合
このサービスの対象は、高齢の農業者です。農林水産省の資料「農林業センサス」によると、農業就業人口は、平成22年には261万人で、75歳以上の者はその3割、78万人です。この78万人が市場規模の基礎となります。当初は、この0.1%が年に3回発注するとします。

b 単位当たりの売上高を算出する
・成約した場合の謝金額を算出する。

「農業シェアリングで三方よし」の場合
高齢農業者(ア)の1回の発注額を、農作業提供者(イ)へ4万円、農業機械提供者(ウ)へ2万円とします。
1回あたりの売り上げは、上記合計額6万円の5%で、0.3万円/回となります。

c 販売目標を算出する
・成約数を想定して、販売目標を算出する。
・売上=販売単価×市場規模×シェア

(個別の売上予測の積算が困難な場合、市場の一定割合を自社売上と試算する方法で事業計画が作成できます。)

「農業シェアリングで三方よし」の場合
販売単価=0.3万円、市場規模=78万人、シェア=0.1%、年間発注回数=3回
売り上げ=0.3万円×78万人×0.1%×3回=702万円

収支計画

収支計画とは売上などの収入に対して、仕入や給与、営業費などの支出を差し引いてどのくらいの利益が出るのかを算出し、採算性を検討することです。

◯売上原価を予測する
売上原価とは、卸売業、小売業、サービス業の場合は、売上高に対応する商品等の仕入高のことをいい、製造業の場合は、製品の製造に直接要した経費(材料費、人件費、外注費)をいいます。

◯経費を予測する
経費は、販売・管理に関する費用で、販売手数料、広告宣伝費、人件費、賃借料、旅費交通費、通信費、光熱水費、リース費用、減価償却費、租税公課、支払利息などがあります。
事業内容により発生する費用項目と金額について詳細に予測しましょう。

◯長期的な収支を予測する
事業は始めることよりも続けていくことのほうがはるかに難しいと言われています。創業当初のことだけでなく、3年先、5年先くらいまで考えておくことが大切です。事業拡大に伴い従業員や拠点を増やしたりする計画があれば、それを見越した資金計画、収支計画が必要になるからです。

資金計画

起業には資金が必要です。まずは、自分の資金力を正しく把握し、実際にどれくらいの資金を調達しなければならないかを確認しましょう。起業した方のほとんどが何らかの借入や出資金を募るといった方法で資金調達を行っています。
なお、自己資金の目安は、融資要件や速やかな事業立ち上げのためには起業資金の5割程度は必要であると言われています。

使える資金
この段階で事業計画と照らし合わせて、今自分が持っている資金と起業資金として必要な資金があまりにかけ離れているのであれば、事業計画の見直しが必要です。

・使える資金=貯蓄・財産 ― 借入金

事業に必要な資金
事業に必要な資金は、①事業開始までの資金、②事業開始後の資金(運転資金)の2つの面で詳細に書きだしましょう。

①事業開始までの資金
事務所や店舗の費用(敷金、保証金、駐車場契約費など)
内外装費用
設備、備品、車両などの費用
会社設立の場合は設立費用
許認可費用 など

②事業開始後の資金(運転資金)
仕入、材料費、外注費
人件費
賃借料
光熱水費、旅費交通費、通信費
広告宣伝費
借入金返済 など

北九州市や福岡県、政府系金融機関の日本政策金融公庫では、開業に関する融資制度があります。これらの融資を利用しましょう。